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2026年、秋のコンサートが近づいてきました!
少しずつ進めてきた準備も大詰め。演奏者にとって、コンサート前の1~2週間は、曲の雰囲気をいかに体に落とし込むか。料理で言えば完成直前の、しっかりと寝かして味を染み込ませるフェーズ。(残念ながら音楽では寝ていても味は染み込みませんが・・・笑)
今回のメインプログラムのひとつが、ヴィヴァルディの《四季》より「秋」です。《四季》といえば、クラシック音楽に詳しくない方でも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
でも、この「秋」。単に秋の美しい風景を描いた曲ではありません。
収穫を祝って大騒ぎしたり、お酒を飲んで酔っ払ったり、最後は狩りにでかけたり・・・。なかなか当時の生活感や人間味あふれる、面白い曲なんです。
せっかくなので今回は、ヴィヴァルディの「秋」がどんな曲なのか、私のコンサートのMCでは語りきれないことを、実際に演奏する立場から少し詳しくご紹介したいと思います。
300年前の音楽は、想像以上にエンターテインメント!
ヴィヴァルディは、今から約300年前に活躍したイタリアの作曲家です。

《四季》は1725年に出版された作品で、「春・夏・秋・冬」それぞれが独立したヴァイオリン協奏曲になっています。
実はこの《四季》、それぞれの楽章に「ソネット」と呼ばれる詩がついているんです。
ソネットとは、簡単に言うと14行で書かれた詩のこと。
今なら映画やテレビ、YouTubeなど、映像と音楽を一緒に楽しむことは当たり前ですが、当時はもちろんスマホもテレビもありません。
そんな時代に、楽器の音だけで風景や人間の動きを表現する。いわば、音で楽しむ物語のようなものだったのかもしれません。
しかも面白いことに、実際の楽譜にもソネットのどの場面を表現しているのかが書き込まれています。

楽譜が読めなくても、こうして見ると、作曲者がかなり具体的な情景を思い浮かべながら音楽を書いていたことがわかりますね。
では、今回演奏する「秋」には、いったいどんな物語が描かれているのでしょうか。
ソネットの内容と一緒にみていきましょう。
第1楽章:収穫祭で大盛り上がり!
まずは第一楽章。ソネットにはこんなことが書かれています。
・村人たちは豊かな収穫を祝い、踊りと歌で喜びを表す。
・バッカス(お酒の神様)の酒によって、陽気な人々はすっかり酔っ払ってしまう。
・そして最後には、眠りの中で宴を終える。
冒頭から、とても賑やかな音楽が始まります。
収穫を祝って村人たちが踊っている様子が目に浮かびますね。
ところが途中から、ヴァイオリンのソロが何やら落ち着かない動きを始めます。
そう、酔っ払いの登場です(笑)
音楽が急に不規則になったり、突然大きな音が出たり、速くなったり、ゆっくりになったり。う〜ん、これは酔っ払ってますね〜笑。足元がおぼつかなくなっている様子がヴァイオリンで表現されています。
ヴィヴァルディ、なかなかユーモアのある作曲家だったようです。
第2楽章:お祭りのあとは、みんな夢の中
続いて2楽章。
ソネットには、
・歌や踊りは終わり、穏やかな空気があたりを包む。
・心地よい季節の中、人々は甘い眠りへと誘われる。
と書かれています。
ところがこの第2楽章、私が幼少期の頃、初めて聞いた時の印象を今でも覚えていますが、音楽がとても重々しく、どこか不気味です。なんでこんな暗い音楽なんだろう、と子供ながらに思っていました。
ところが、大人になってソネットの内容を知り、お酒を飲みすぎてフラフラになった自分の経験なんかも重ねて見ると
これが全く違う音楽に聴こえてきます。
あぁ〜、なるほど。
確かにこれは、酔っ払って眠っている人たちの音楽に聞こえなくもないな・・・・(笑)
楽しく飲んでいたはずなのに、気づけば体が重く、頭もぼんやり。もう何も考えずに寝ていたい
そんなコンディションを想像すると、この重々しい音楽が妙にしっくりくるんです。
先日もリハーサル中に青木氏とそんな話になり、2人でソネットと楽譜を照らし合わせながら、笑ってしまいました。
もちろん、ヴィヴァルディが本当にそこまで意図していたのかはわかりませんが、こうして自分の経験と音楽が結びつくのも、クラシック音楽の面白いところだと思います。
第3楽章:朝になったら、今度は狩りに出発!
そして最後は第3楽章。
ソネットには、こんな場面が描かれています。
・夜が明けると、狩人たちは角笛や猟銃を持ち、犬を連れて狩に出かける。
・獲物は逃げ、狩人たちはそのあとを追いかける。
・銃声や犬の吠える声に驚き、傷ついた獲物は必死に逃げようとする。
・しかし、逃げ疲れた獲物はついに力尽き、狩は終わる。
なんともドラマチックな展開です。
音楽も、狩人たちの勇ましい出発から、獲物を追いかける場面へと目まぐるしく変化していいきます。
特にヴァイオリンのソロが細かく動き回る部分は、まるで獲物を追いかける犬が走り回っているようにも感じられます。
実際に楽譜を見てみる。

狩で犬が走り出して、獲物を追いかけているような場面を想像すると、なかなか面白いです。
ちなみに、ヴァイオリン奏者の指もそうとう忙しく動き回ります(笑)
実際の演奏では、ぜひそんな様子も楽しんでいただければと思います。
今回はヴァイオリンとピアノで。この世界をどう表現する?
さて、ここまで「秋」の3つの楽章をご紹介してきましたが、今回のコンサートでは、この曲をヴァイオリンとピアノで演奏します。
本来《四季》は、独創ヴァイオリンと弦楽合奏、そしてチェロやチェンバロなどによる通奏低音で演奏される曲です。
通奏低音とは、簡単に言うと、低音や和音で音楽の土台を支える役割のこと。
今回は、その弦楽オーケストラが担当する部分を、青木氏がピアノ1台で引き受けてくれます。
これがまた、なかなか大変な役割でして。(青木ありがとう)
ヴァイオリンのソロが注目されがちな曲ですが、実はその後ろでソロを支えるオーケストラがとても重要。収穫祭の賑やかな雰囲気からよっぱparkった人々の眠り、そして最後の狩のシーンまで、雰囲気作り、場の空気の色付けを、今回ピアニスト青木氏が請け負ってくれます。
ヴァイオリンがどんなふうに歌い、動き回るのか。そして、それを青木氏のピアノが動作さえ、ときには一緒に盛り上げていくのか。
ぜひ、そんなところにも注目していただけたらと思います。
今回ご紹介したソネットの内容を知ってから聞くと、今までなんとなく聞いていたメロディが、少し違って聴こえてくるかもしれません。
この記事が、当日の演奏をより楽しんでいただくための、ちょっとした予習になれば嬉しいです。
さて、約300年前にヴィヴァルディが音楽で描いた秋の世界。
それをヴァイオリンとピアノでどのように表現するのか。
ぜひ当日の演奏を楽しみにしていてください!
本日のお酒
さて。今日はこんなお酒を買ってみました。ソネットの中に、”バッカス”というワードが出てきますが、お酒の神様とのこと。おそらく”秋”に出てくる人々は、おそらくワインを飲んでどんちゃん騒ぎをしていたのかな〜と想像しましたが、イタリアといえば、このお酒もありますね。
ということでリモンチェッロ DICAPRI。甘いですけど30度という逆に目が覚める強さ笑。

この後は炭酸割りで爽やかにいただきました。
それではまた次回!
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