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日本人なら一度は聞いたことがある?《モルダウ》
2026年後半のコンサートでは、チェコの作曲家スメタナの名曲《モルダウ》を、ヴァイオリンとピアノでお届けします。「モルダウ」という曲をご存知でしょうか?
クラシック音楽には馴染みがなくても、メロディを聴けば「あぁ、この曲か!」と思い出す方も多いかもしれません。
《モルダウ》は、長年にわたって日本の音楽の授業の鑑賞教材として親しまれ、日本語の歌詞をつけた合唱曲にもなっています。
実は「モルダウ」はドイツ語の名前。チェコ語では「ヴルダヴァ」と呼ばれる、チェコの首都プラハを流れる川のことです。

日本で《モルダウ》が学校の鑑賞教材として扱われてきた歴史は古く、東京タワーが完成した1958年(昭和33年)の学習指導要領の時代までさかのぼります。
当時は全国共通の鑑賞教材として位置づけられ、その後も世代を超えて親しまれてきました。現在も中学校の音楽教科書に掲載されており、学校でこの曲を聴いた記憶がある方も多いのではないでしょうか。
それにしても、遠く離れたチェコの川を描いた音楽が、なぜこれほど日本人に親しまれているのか。
今回演奏するにあたり深掘りしてみたところ、1人の作曲家の波乱に満ちた人生と、ヨーロッパの歴史、そしてメロディに隠された以外な物語が見えてきました。
このブログでは、当時の日本や世界の歴史と比べながらモルダウについて解説していきます。
第1章 | 耳が聞こえなくなった作曲家が、川の音楽を書いた

《モルダウ》を作曲したベドルジハ・スメタナは、1824年、現在のチェコに生まれました。日本ではまだ江戸時代。ペリーの黒船が来航する29年も前のことです。(私は静岡県下田市生まれなので、ペリーのワードはよく出てくるかもしれません笑)
当時のチェコは独立した国ではなく、オーストリア帝国の支配下にありました。チェコの人々の間では、自分たちの言葉や文化を大切にしようという運動が広がっており、スメタナも音楽を通じて祖国への思いを表現しようとしました。
ところが、音楽家として活躍していたスメタナを突然の悲劇が襲います。
1874年、50歳のときに聴力が急激に悪化し、ほぼ完全に耳が聞こえなくなってしまったのです。日本では明治7年、西南戦争が起こる3年前のことでした。
しかし、スメタナは作曲をやめませんでした。
聴力を失った直後の1874年11月から《モルダウ》の作曲に取りかかり、12月8日に完成させます。その期間は、わずか19日間。
川のせせらぎ、森に響く狩りの角笛、人々の踊り、そして大河の雄大な流れ。
実際にはその音を聴くことができなかったスメタナが、頭の中にある音楽によって、これほど色彩豊かな世界を描き出したのです。
第2章 | 《モルダウ》で旅するチェコの風景
実は《モルダウ》は、全6曲からなる《我が祖国》という壮大な作品の第2曲です。
チェコの古城や伝説、雄大な自然、そして民族の歴史を音楽で描いた、いわば「音楽による祖国の絵巻物」です。
《我が祖国》が全曲初演されたのは1882年。日本では明治15年、日本銀行が開業した年に初めて演奏されたのです。 しかし、チェコスロヴァキアが独立するのは、それから36年後の1918年。スメタナは、まだ独立していない祖国の美しさや誇りを音楽に込めたのです。
その中でも《モルダウ》は、チェコを流れる川の旅を描いています。
曲は、二つの小さな水源を表すフルートとクラリネットの音色から始まります。やがて二つの流れが合わさり、誰もが知るあの美しいメロディが登場します。

川は森を抜け、狩りの角笛が響き、村では結婚式の踊りが始まります。夜になると月明かりの下に水の精が現れ、やがて川は激しい急流を越えて、首都プラハへと流れ込んでいきます。
まるで川と一緒にチェコを旅しているような音楽なのです。

第3章 | なぜ日本人は《モルダウ》が好きなのか? メロディの秘密
《モルダウ》が日本で親しまれてきた理由の一つに、学校の音楽教育があります。1958年(昭和33年)には、中学校の学習指導要領で鑑賞教材として取り上げられました。その後も長く親しまれ、現在の音楽教科書にも掲載されています。
さらに、もともとはオーケストラのための作品ですが、日本語の歌詞がつけられ、合唱曲としても歌われるようになりました。

例えば《モルダウの流れ》という曲は、「ボヘミアの川よ モルダウよ」という歌詞で始まります。遠いチェコの川の美しさが、日本語でも歌われているのです。
こうして《モルダウ》は、ただ聴くだけでなく、自分たちで歌うことのできる身近な音楽にもなりました。
そして、もう一つ面白い話があります。
《モルダウ》のメロディには、古いイタリア歌曲《ラ・マントヴァーナ》をはじめ、ヨーロッパ各地で歌い継がれてきた旋律との共通点があります。実はイスラエルの国歌にも、同じ系統と考えられるメロディが使われているのです。
国境を越えて人々に歌われてきた旋律が、スメタナの手によってチェコの大河を描く壮大な音楽になり、やがて遠い日本でも親しまれるようになったというのは、なんとも不思議な縁ですね。
第4章 | オーケストラの大河を、ヴァイオリンとピアノの二人で描く
《モルダウ》は、もともと大編成のオーケストラのために作曲された作品です。
川のせせらぎを表すフルートやクラリネット、ゆったりとうねる川の流れを支える低弦楽器、そして雄大なメロディを奏でるヴァイオリン。さまざまな楽器がそれぞれの役割を担い、壮大な風景を描き出します。
今回は、このオーケストラの世界をヴァイオリンとピアノ、たった二人で表現します。

青木のピアノは、低弦楽器が奏でる川のうねりをはじめ、オーケストラのさまざまな響きを担当。一方、松村のヴァイオリンは、フルートや弦楽器の旋律を受け持ち、複数の音を同時に演奏します。
何十人もの演奏家が描く大河の風景を、二人の楽器でどう表現するのか。
オーケストラとはひと味違う《モルダウ》の魅力を、ぜひお楽しみください。
おわりに | チェコの川から、金沢の川へ
金沢にも、街を代表する川の一つ「犀川」があります。
せっかくなので、今回のコンサートのチラシと一緒に一枚撮ってみました(笑)。

遠いチェコのヴルタヴァ川にも、金沢の犀川にも、それぞれの歴史や人々の暮らしがあります。
皆さんの住んでいる街には、どんな川が流れていますか?
普段何気なく眺めている川にも、調べてみると意外な歴史や物語が隠されているかもしれません。
それでは、明日10月24日は金沢公演です!
お越しいただく皆さま、どうぞお楽しみに! (読んだよボタンを押してください♪)
SOURCES
参考にした情報
- 参考資料】
- ■ チェコ国立博物館・スメタナ作品目録《我が祖国》
- https://bedrichsmetana.nm.cz/en/work/detail/my-country/133
- 《モルダウ》の作曲期間、初演日、作品全体の構成について参照。
- ■ チェコ国立博物館「《我が祖国》の物語と全曲初演」
- https://www.nm.cz/ceske-muzeum-hudby/pribeh-smetanovy-me-vlasti-a-jeji-prvni-souborne-provedeni
- スメタナの難聴、当時の歴史的背景、作曲の経緯について参照。
- ■ 文部科学省「学習指導要領・音楽」
- https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/old-cs/1322465.htm
- 《モルダウ》が中学校の鑑賞共通教材として指定されていたことについて参照。
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コメント
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いいですね。
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ドヴォルザークも好きです。
いいですね!
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